四万十市にはこれまで何度も取材に訪れたが、その度に素敵な人との出会いがあり美味しい食材にもめぐり合えた。今回も新たな発見を楽しみに、同市の良さについて四万十市長、澤田五十六(さわだ・いそろく)氏にあらためてお話を伺った。「四万十市といえば何と言っても『四万十川』、これを抜きには語れませんね。清流の恵みを受けた新鮮な魚や青のり、またその周辺で育った農作物などを全国の食通の方に食べ比べてもらいたいですよ。そして海、特に平野ビーチはA 級の波が来る日本屈指のサーフィンスポット。海水の透明度も高く景観的にも美しいですよ。当然周りでは豊富に魚介類が捕れますので、新鮮なものを食べていただけます。また山側に行けば手付かずの自然が多く残っており、秋のシーズンには辺り一面の山が真っ赤に染まる素晴らしい紅葉を楽しんでもらえます。」
四万十川の美しさは日本屈指の一級河川として有名で、全国各地から観光客が訪れている。私たちも取材の度にその澄んだ川面にほっとするのと同時に、どこか懐かしさを感じてしまう。「日本全国を旅されている、県外のある中小企業の社長からこんな言葉を頂戴したこともあります。『旅行者にとって旅には大事な3 つの要素がある。1つ目は風光明媚、2つ目は人情が厚い、3つ目は料理が美味しい。この3つが高いレベルで揃っている旅先は日本全国見渡しても数が少ない。その数少ない名所のうち、さらに5本の指に入るのが四万十市です。』と。確かに四万十市は海、山、川と景色の良いところが多いですし、食べ物に関してはその昔、土佐一条氏によってもたらされた京文化が色濃く残っている街です。味付けや盛り付けが京都料理に近いところがありますから人気があるのでしょうね。」ここ四万十市は観光地として申し分のない場所であるが、それだけに止まらず全国からの移住先としても人気が高いそうだ。
「ここ数年、県外からの移住の問い合わせが増えています。田舎の良さが残っていますし、一方では高知県西南地域の中心地ということもあり都会的な設備も整っているので住みよいんだと思いますよ。まあ言ってみれば田舎と都会の共存、そのバランスに優れている街なんですね。」
現在、全国的に川の流域では洪水の脅威から地域住民の生活を守るための堤防が造られ、昔ながらの景観が減ってきている(コンクリートがむき出しの状態)。四万十市としては景観への配慮として国土交通省と協力し、近自然工法により堤防を緑地化している。
「それだけではありません。市民の方たちにもご協力いただき、年に2回四万十川の一斉清掃を行っております。地域住民も川の汚れに対して大変関心を持ってくれています。海辺もサーファーの方たちが率先して美化に勤めてくれています。そういった取り組みのおかげで、綺麗な場所にはゴミを捨てにくいという心理が働き美観が保たれているのではないでしょうか。おそらく10数年前と比べると綺麗になったように感じられます。また美観だけでなく、我々は自然から色々なものを頂いておりますから、できるだけ自然を有りのままの姿で残して次世代の方たちへ引き継いでもらうことに力を入れて行きたいですね。」
「山、川、海と雄大な自然に囲まれた四万十市で育った特産品はどれも美味しく、全国どこに出しても恥ずかしくないものばかりです。ぜひこの四万十市ならではの味覚を味わってみてください。行政としてもショッピングや観光を中心として四万十市の良いところ、田舎と都会の共存をさらに高めて行きたいと思っています。そうすることによって地域の振興につながればさらに良い商品が生まれるのではないでしょうか。これからも四万十市を全国に向けてアピールしていきますよ。」市民と行政が一体となって自然を守り、その自然からの恵みを受け、観光とネットショッピングを軸にして全国に発信して行く。ひいてはその取り組みが地域の振興に繋がり、またそこから新しい産業が生まれる。このサイクルを繰り返すことによって四万十ブランドが確立されているのだ。ぜひ皆さんも四万十ブランドの商品をお試しいただき、地域の方たちの温かい人情とともに四万十ブランドにかける情熱を感じていただきたい。

- 四万十果友会
9つの生産者が集まってできているのが四万十果友会です。日々生産の情報交換や技術の向上等を目指してみんなでがんばっています。親子二代で運営しているところもあり、人材の育成にも力を入れています。

- 山間屋
この地域の良さを紹介する場所は今までほとんどなかったように思います。これではもったいないと思ったのがきっかけです。このあたりは本当に水が綺麗で一番の自慢になります。まずはこの地域のことを知ってもらいたいですね。


四万十市の特産品といえば、天然鮎、青のりなどが有名だがその他にもたくさんの地場産品が揃っている。「山間地域では美味しいお米がとれますよ。四万十川流域ですから水の綺麗さがいいのでしょうね。さらに昼夜の大きな寒暖差が美味しさに磨きをかけます。特に稲木米(*)は水っぽさが無く、米どころと呼ばれる東北地方のお米と比べても負けないくらい味が良いです。それと柑橘類です。文旦やゆずなど、味も良く大振りの物が栽培されています。また梨などは糖度が非常に高くてとても甘く、みずみずしい味わいが人気です。川からは鮎やうなぎ、青のりが取れます。それと海苔から抽出した成分を医薬品として使えないかといった研究もしています。海産物では、黒潮の流れ着く海に面していますので伊勢海老やひらめ、太刀魚、あじなど。他にもしいたけ、アロエ・・・まだまだたくさんあります。ぜひ味わっていただきたいですね。」四万十川を筆頭にして、多く残された自然が四万十市の地場産品を育み、味の良さにつながっているのだ。
(※)稲木米(いなぎまい)・・・・・木で組み上げた小型の物干し台のようなものに、束ねた刈りたての稲穂をつるし天日で乾燥させたお米。手間がかかるため今ではあまり見られなくなっているが、この方法を使用して乾燥させることで風味が良くなる。

数多くある四万十市の地場産品を全国の方たちに向けて発信することも行政の仕事の一つと捉えている澤田市長。さらに今後について伺った。「地場産品の販売は卸売市場がメインになっていますが、最近では農家の方たちがそれぞれの商品を一箇所に持ち寄り、直接販売する良心市も各地にできていますし、インターネットの普及によりネットショップから全国に向けて販売している方もいらっしゃいます。行政としてもこうした取り組みをバックアップしていくつもりです。また新しい産品を開発していくことも必要ですね。平野部には湿地帯が多いのでサトイモが美味しく栽培できますから、これを各農家へ推奨していきたいです。」
地場産品が増えればそれに付随して雇用も生まれる。様々な要素を地域全体の振興に役立てていく計画だ。そして我々じばさんネットのショッピングでは、売り上げの1%を自然環境保護団体などに寄付することで環境問題にも取り組んでゆくことを伝えると、澤田市長は力強くうなずいてエールを送ってくれた。地域振興と自然保護、この二つに重きを置いている市長だと確信した。


















